
メールマーケティングという言葉は、メルマガの配信とほぼ同義で使われることがあります。しかし実際には複数の施策を含む概念で、それぞれ目的も配信のきっかけも異なります。
この記事では、メールを使った施策の全体像を整理し、顧客の状態に応じてどれを選ぶべきかを解説します。メルマガ単体の運用方法ではなく、複数の施策をどう組み合わせるかを扱います。
結論として、メールマーケティングの施策は「流行っているから」ではなく、自社の顧客がいまどの状態にいるかで選びます。
ステップメールもマーケティングオートメーションも、それ自体が成果を生むわけではありません。顧客の状態に合った内容を、適切なタイミングで届けられる場合にのみ効果が出ます。
したがって最初に行うのは、ツールの選定ではなく、顧客が購入・契約に至るまでにどの段階を通るかの整理です。
メールマーケティングとは、電子メールを使って見込み客や既存顧客との関係を構築し、成果につなげる活動全般を指します。
メルマガはメールマーケティングの一施策です。同義ではありません。
| メールマーケティング | メールを使った施策全体の総称 |
| メルマガ | そのうち、登録読者への定期配信を指す |
メルマガだけを実施している状態も、メールマーケティングに含まれます。ただし他の施策と組み合わせることで、対応できる顧客の状態が広がります。
BtoBでは購買の検討期間が長く、複数の関係者が関与します。この特性に対し、メールには次の利点があります。
メールを使った主な施策を、配信のきっかけで整理します。
| 施策 | 配信のきっかけ | 対象の状態 |
|---|---|---|
| メルマガ | 送信側が決めた日時 | 関心はあるが検討時期は不明 |
| ステップメール | 読者の行動(自動) | 直前に具体的な行動を取った |
| トランザクションメール | 取引の発生(自動) | 申込・契約などが完了した |
| 個別配信 | 担当者の判断 | 商談が進行している |
| 休眠向け配信 | 一定期間の反応なし | 接点が途切れている |
これらは択一ではなく、顧客の状態の変化に応じて使い分けるものです。
検討時期が読めない相手に対し、継続的に接点を保つ役割です。BtoBでは検討が数か月から年単位に及ぶこともあり、その間に忘れられないことが目的になります。
即時の成果を求める施策ではありません。1回の配信での反応が小さくても、継続すること自体に意味があります。
資料請求や問い合わせなど、読者が具体的な行動を取った直後に、その状態に合った内容を自動配信します。
メルマガとの違いは、読者の状態が特定できている点です。何をした直後かが分かるため、次に必要な情報を的確に届けられます。
申込確認、発送通知、契約更新の案内など、取引の発生に伴って送るメールです。
広告・宣伝ではなく通知であるため、開封率は他の施策より高くなる傾向があります。ただし、この高い開封率を利用して過度に宣伝を入れると、通知としての信頼を損ないます。また法令上の扱いも広告メールとは異なるため、内容の追加には注意が必要です。
一定期間反応がない読者に対する配信です。ただし実施の前に確認すべき点があります。
「反応がない」の判断に開封を使うと、誤判定が起きます。画像の表示をブロックしている読者は、読んでいても開封として記録されないためです。判断にはクリックの有無を使います。
施策によって、HTML形式の有効性は変わります。
| 施策 | HTML形式の必要性 | 理由 |
|---|---|---|
| メルマガ | 高い | 複数情報の整理、計測、CTAの視認性 |
| ステップメール | 高い | 繰り返し使われるため制作の投資効率が高い |
| トランザクションメール | 中 | 情報が整理されると分かりやすいが、確実な到達が優先 |
| 個別配信 | 低い | 1対1の連絡として送るため、テキストのほうが自然 |
HTML形式の利点は、情報を構造化して見せられること、CTAを目立たせられること、そして計測ができることです。
ただし、これは読者の環境で意図どおりに表示された場合に限られます。メールソフトによってHTMLとCSSの解釈が異なるため、送信側の環境で正常に見えても、読者の環境ではレイアウトが崩れていることがあります。
崩れた状態では、情報の構造化もCTAの視認性も失われます。つまりHTML形式の利点は、表示が保証されて初めて成立します。
つまりHTML形式を選ぶ場合、主要な受信環境での表示確認までが前提になります。確認の体制がないままHTML形式を採用すると、利点が失われた状態で配信を続けることになります。
施策ごとに、見るべき指標は変わります。すべての施策を同じ指標で評価すると、判断を誤ります。
| 施策 | 主に見る指標 | 見ても意味が薄い指標 |
|---|---|---|
| メルマガ | クリック率、配信停止率、継続率 | 1回あたりのコンバージョン |
| ステップメール | シナリオ完走率、各通の離脱、コンバージョン | 単発の開封率 |
| トランザクションメール | 到達率 | クリック率(そもそも目的が違う) |
| 休眠向け配信 | 反応の再開率 | 配信停止率(一定数は想定内) |
特に注意が必要なのが、メルマガを1回ごとのコンバージョンで評価することです。メルマガの役割は関係の維持であり、成果は蓄積として表れます。1回の配信で問い合わせが発生しないことを理由に中止すると、それまでの蓄積も失われます。
また、開封率は施策を問わず計測の精度が低い指標です。各指標の詳しい読み方については、別途詳しく解説する予定です。
複数の施策がありますが、同時に始める必要はありません。
最初からすべてを設計しようとすると、運用が始まりません。まず1つの施策を継続できる状態にしてから広げます。
どの施策も、配信先がなければ実施できません。また日本国内では、広告・宣伝を目的とするメールが特定電子メール法の対象となり、原則としてあらかじめ同意を得た相手にのみ送信できます。
後から遡って同意を取り直すことは困難なため、リストの集め方は施策の開始前に確認が必要です。詳しくは別途解説する予定です。
異なります。メールマーケティングはメールを使った施策全体の総称で、メルマガはそのうち登録読者への定期配信を指します。他にステップメール、トランザクションメール、休眠向け配信などが含まれます。メルマガだけを実施している状態もメールマーケティングに含まれますが、他の施策と組み合わせることで対応できる顧客の状態が広がります。
配信先リストの整備からです。どの施策も配信先がなければ実施できません。あわせて、リストの集め方が特定電子メール法の要件を満たしているかを確認してください。その後、まずメルマガで定期的な接点を作り、反応のあった読者に対するステップメールを追加する順序が現実的です。最初からすべてを設計しようとすると運用が始まりません。
検討期間が長く複数の関係者が関与するBtoBの購買特性に対して、メールには継続的に接点を保てる、社内で共有しやすい、読み手のタイミングで確認できるという利点があります。ただし即時の成果を求める施策ではなく、成果は蓄積として表れます。
施策によります。メルマガやステップメールでは、情報の構造化とCTAの視認性、計測の観点からHTML形式が有効です。一方、商談中の個別連絡は1対1のやり取りとして送るためテキスト形式のほうが自然です。またHTML形式の利点は読者の環境で意図どおり表示された場合に限られるため、主要な受信環境での表示確認が前提になります。
1回ごとのコンバージョンで評価しないことをおすすめします。メルマガの役割は関係の維持であり、成果は蓄積として表れるためです。主に見る指標はクリック率、配信停止率、継続率です。1回の配信で問い合わせが発生しないことを理由に中止すると、それまでの蓄積も失われます。
メールマーケティングを設計する際の要点は次のとおりです。
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