
メルマガの件名を考えるとき、多くの記事が「何文字以内に収めるべきか」を論じます。しかし実務で効くのは文字数そのものではなく、表示される範囲に何を置いたかです。
件名が途中で切れる位置は、読者が使うメールソフトと端末によって変わります。この記事では、その前提に立って件名の設計方法を整理し、迷惑メール判定を避けるための注意点まで解説します。
結論として、件名の設計で最初に決めるべきは文字数ではなく語順です。
理由は単純で、件名が何文字目で切れるかは受信環境によって異なるためです。同じ件名でも、PCのメールソフトでは最後まで表示され、スマートフォンでは途中で切れます。文字数を基準にすると、どの環境に合わせるかで答えが変わってしまいます。
一方、読者が判断に使う言葉を前方に置くという原則は、どの環境でも成立します。後半が切れても意味が通る構造にしておけば、表示範囲の差に左右されません。
件名が表示される範囲は、次の条件で変わります。
このため、「件名は◯文字以内」という一律の基準は、実務上あまり意味を持ちません。自社の読者がどの環境で読んでいるかによって、適切な長さは変わります。
配信システムによっては、受信環境の内訳をレポートで確認できます。スマートフォンでの閲覧が多いのか、PCが中心なのかによって、件名の設計は変わります。
データが取れない場合でも、自分宛にテスト送信して、実際に使われそうな環境の一覧画面で確認する方法があります。作成画面で件名を眺めるのではなく、受信箱の一覧でどう見えるかを確認することが重要です。
語順を設計する際の考え方は次のとおりです。
| 置く位置 | 入れる内容 | 理由 |
|---|---|---|
| 前方 | 読者が自分に関係あると判断できる語 | 切れずに必ず表示されるため |
| 中盤 | 具体的な内容・数値 | 環境によって表示される |
| 後方 | 補足・修飾 | 切れても意味が通る前提で置く |
なお、送信者名も一覧画面に表示されます。件名だけで全てを伝えようとせず、送信者名で誰からのメールかが分かる状態にしておくと、件名に使える情報量が増えます。
件名の効果は、A/Bテストで検証できます。ここで重要なのは、検証の設計です。
件名の文言と配信時間を同時に変えると、どちらが効いたのか判別できません。検証する要素は1回に1つとします。
開封率は、Apple Mail Privacy Protectionなどの影響で実際の閲覧回数と一致しなくなっています。ただしA/Bテストでは両群に同じ条件で影響が乗るため、相対的な比較は成立します。
「AとBのどちらが良いか」を判断する用途では、開封率は現在も使えます。使えないのは、「開封率◯%だから良い/悪い」という絶対評価のほうです。
リストの規模が小さい場合、1回のテストでは差が偶然の範囲に収まることがあります。数十件程度の配信で数ポイントの差が出ても、それは件名の効果とは言えません。
リストが小さい場合は、同じ趣旨のテストを複数回繰り返し、傾向が一貫しているかで判断します。
件名で検証しやすく、差が出やすいのは次のような要素です。
これらはいずれも、自社のリストで検証しなければ答えが出ません。他社の事例で効果があった型が、自社の読者に同じように効くとは限らないためです。
プリヘッダー(プレビューテキスト)は、受信箱の一覧で件名の後ろや下に表示される本文の冒頭部分です。件名とセットで読まれるため、あわせて設計します。
プリヘッダーを明示的に指定していない場合、本文の最初の文字列が自動的に表示されます。ここに「このメールが正しく表示されない場合は」といった定型文や、ヘッダー画像の代替テキストが入っていると、件名の直後にその文言が並びます。
まず確認すべきは、いま自社のメールのプリヘッダーに何が表示されているかです。多くの場合、意図しない文字列が出ています。
プリヘッダーは、件名で伝えきれなかった情報を補う位置にあります。件名と同じ内容を繰り返すのではなく、件名を読んだ読者が次に知りたいことを置きます。
件名の書き方によっては、迷惑メールとして判定される可能性が高まります。
まず前提として、迷惑メールの判定基準は各社が公開していません。「この語を使うと迷惑メール扱いになる」という確定的なリストは存在せず、特定の単語だけで判定が決まるわけでもありません。
そのうえで、一般に注意が必要とされるのは次のような要素です。
重要な点として、迷惑メール判定は件名だけで決まるものではありません。送信元の評価、つまり過去にそのドメインやIPアドレスから送られたメールがどう扱われてきたかが大きく影響します。
読者から迷惑メールとして報告された履歴、無効なアドレスへの配信を続けた履歴などが、送信元の評価を下げます。この評価が下がると、件名をどう工夫しても迷惑メールフォルダに入りやすくなります。
したがって、迷惑メール対策として優先度が高いのは、件名の表現よりもリストの管理と配信停止導線の整備です。配信停止したい読者が停止できずに迷惑メール報告をすると、送信元の評価が直接下がります。
広告・宣伝を目的とするメールには、特定電子メール法により表示すべき事項が定められています。件名についても、内容と著しく異なる件名を付けることは適切ではありません。
法令上の要件については、別途詳しく解説する予定です。
件名の改善で動くのは開封率です。ただし、開封率が上がっても成果につながらない場合があります。
件名で期待を持たせすぎると、開封はされてもその後のクリックが伸びません。本文の内容と件名の約束がずれていると、読者は本文を読まずに離脱します。
したがって、件名の効果は開封率とクリック率をセットで確認します。開封率が上がりクリック率が下がった場合、件名が本文の内容を正しく表していない可能性があります。
開封率そのものの読み方、および計測上の限界については、別途詳しく解説する予定です。
一律の適切な文字数はありません。件名が表示される範囲は、受信者の端末、メールソフト、表示設定によって異なるためです。文字数を基準にするより、読者が判断に使う言葉を前方に置き、後半が切れても意味が通る構造にすることをおすすめします。自社の読者がどの環境で読んでいるかを確認したうえで設計してください。
迷惑メールの判定基準は各社が公開していないため、特定の語を使うと必ず判定されるという確定的なリストはありません。一般には、過度に煽る表現、記号や絵文字の多用、件名と本文の内容の不一致などが注意点として挙げられます。ただし判定に大きく影響するのは件名よりも送信元の評価であり、リストの管理と配信停止導線の整備のほうが優先度は高くなります。
有効です。開封率はApple Mail Privacy Protectionなどの影響で実際の閲覧回数とは一致しなくなっていますが、A/Bテストでは両群に同じ条件で影響が乗るため、相対的な比較は成立します。ただしリストの規模が小さい場合は、1回のテストの差が偶然の範囲に収まることがあるため、複数回繰り返して傾向を確認してください。
設定をおすすめします。指定しない場合、本文の先頭にある文字列がそのまま表示されるため、「このメールが正しく表示されない場合は」といった定型文や画像の代替テキストが件名の直後に並ぶことがあります。件名を補足する内容を明示的に指定することで、開封の判断材料を1つ増やせます。
件名が本文の内容を正しく表していない可能性があります。件名で強い期待を持たせると開封はされますが、本文がその期待に応えていない場合、読者は読まずに離脱しクリックに至りません。件名の効果は開封率とクリック率をセットで確認してください。
件名の改善は、文字数を数えることではなく、表示される範囲に何を置くかを決めることです。
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