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メルマガの開封率を上げる方法と、業界平均の実数

メルマガの開封率が低いと感じたとき、多くの現場では件名の書き方から見直しが始まります。しかし、その前に確認しておくべきことがあります。いま見ている開封率の数字が、そもそも実態を表していない可能性です。

2021年にAppleがMail Privacy Protection(メールプライバシー保護)を導入して以降、開封率は「読者が実際に読んだ回数」とは別のものを測るようになりました。この記事では、開封率の定義と計測の限界を整理したうえで、業界平均の実数を出典つきで示し、改善に取り組む順序を4段階で解説します。

開封率は上げる前に、正しく読むところから始める

結論から言えば、開封率は単独で成果を判断できる指標ではなくなりました。改善に着手する前に、自社の数字がどういう条件で計測されたものかを確認する必要があります。

理由は2つあります。ひとつは、開封の計測方法そのものが外部環境に左右されるようになったこと。もうひとつは、配信システムによって計算式が異なり、他社の数字と単純に比較できないことです。

そのうえで、開封率が意味を持つ場面は残っています。同じ配信システムで、同じリストに対して、条件を変えながら自社の推移を追う場合です。この記事では、その前提に立って改善の順序を示します。

開封率の定義と、計測の限界

開封率は一般に「開封数 ÷ 配信成功数 × 100」で算出されます。国内の配信システムであるブラストメールも、この定義を採用しています(配信成功数は総配信数から不達を除いた数)。

問題は、この「開封数」がどう数えられているかです。

開封はメール本文に埋め込まれた画像で計測している

HTMLメールの多くには、1×1ピクセルの透明な画像が埋め込まれています。受信者がメールを開いてこの画像がサーバーから読み込まれた瞬間を「開封」として記録する仕組みです。

この仕組みには、以前から2つの弱点がありました。

  • 受信者が画像の表示をブロックしていると、読んでいても開封として記録されない
  • テキスト形式のメールには画像を埋め込めないため、そもそも開封を計測できない

つまり開封率は、もともと実数より低く出る可能性を抱えた指標でした。

Apple Mail Privacy Protectionによる変化

2021年以降、この前提がさらに変わりました。AppleのMail Privacy Protectionが有効な環境では、受信者がメールを開いたかどうかにかかわらず、リモートコンテンツが自動的に読み込まれます。

Appleの公式ドキュメントは、この機能について次のように説明しています(2026年9月5日参照)。

your IP address is hidden from senders and remote content is privately downloaded in the background when you receive a message (instead of when you view it).

出典:Apple「Protect email privacy in Mail on Mac」
https://support.apple.com/guide/mail/protect-email-privacy-mlhlp1205/mac

重要なのは「when you receive a message (instead of when you view it)」の部分です。閲覧した時点ではなく、受信した時点でコンテンツが読み込まれます。送信側から見ると、読まれていなくても開封として記録される可能性があるということです。

あわせてAppleは、送信者が収集できなくなる情報として「when and how many times you view it(いつ、何回閲覧したか)」を挙げています。開封のタイミングと回数は、送信側からは分からなくなりました。

影響範囲は「開封イベントの過半数」

メール配信の分析基盤を提供するLitmusは、2026年時点で、計測される全開封イベントのうちおよそ55〜60%がMail Privacy Protectionの影響下にあるとしています。

ここは誤読されやすい箇所なので補足します。この数値は「開封率が55〜60ポイント水増しされている」という意味ではありません。「記録された開封イベントのうち、MPP経由のものがその割合を占める」という意味です。実際に開封率が何ポイント押し上げられるかは、リストに含まれるApple Mail利用者の比率によって変わるため、一律の数値は示せません。

実務上どう扱うか

以上を踏まえると、開封率の扱い方は次のようになります。

用途適否理由
自社の推移を追う 使える 計測条件が同一なら、変化の方向は読み取れる
件名のA/Bテスト 使える 同一条件・同一期間で比較するため、MPPの影響が両群に等しく乗る
他社・他業界との比較 慎重に 配信システムごとに計算式と計測条件が異なる
単独の成果指標にする 適さない 実際の閲覧と一致しないため。クリック率を主指標に置く

クリック率は、開封数を分母に使わない限り、この影響を受けません。開封率を補助指標に、クリック率を主指標に置く。これが現在の実務上の落としどころです。

業界平均の実数

自社の数字を評価するための参考値を、出典つきで示します。数値の性質が異なるため、国内と海外を分けて扱います。

国内の平均開封率

国内の配信システム「ブラストメール」が、2026年1月1日から6月30日に同システムから配信されたメールを集計した結果です。全業種の平均開封率は27.2%でした。

業種開封率
運輸・エネルギー・第一次産業36.6%
官公庁・自治体・団体35.4%
金融・保険32.1%
医療・福祉・介護31.5%
生活関連サービス・レジャー・美容30.8%
小売(実店舗)30.7%
商社・卸売29.9%
飲食・宿泊29.6%
通販・EC29.1%
製造・メーカー28.3%
Web制作・インターネットサービス28.1%
教育・学習支援27.0%
IT・ソフトウェア・システム開発25.7%
コンサルティング・士業24.4%
広告・マーケティング・デザイン・印刷24.1%
メディア・出版・放送・映像22.2%
建設・不動産・住宅20.9%
人材・人材サービス14.0%
その他・不明23.9%
全業種平均27.2%

出典:ブラストメール「業種別メール開封率調査」(集計期間 2026年1月1日〜6月30日、2026年9月5日参照)
https://blastmail.jp/blog/report/email-or-report
※算出式は「開封数 ÷ 配信成功数 × 100」。対象となった総配信通数は公開されていません。

BtoB領域に関係する業種を見ると、製造・メーカー28.3%、IT・ソフトウェア25.7%、コンサルティング・士業24.4%と、全業種平均をやや下回る水準です。読者が業務時間中に受け取り、緊急性の低いものは後回しにされやすいことが背景にあると考えられます。

海外の参考値

海外の配信サービスMailerLiteは、2024年12月から2025年11月に配信された360万件超のキャンペーン(181,000超のアカウント)を集計しています。

指標数値種別
開封率43.46%中央値
クリック率(CTR)2.09%平均値
クリック開封率(CTOR)6.81%中央値

出典:MailerLite「Email marketing benchmarks across all industries」(集計期間 2024年12月〜2025年11月、2026年9月5日参照)
https://www.mailerlite.com/blog/compare-your-email-performance-metrics-industry-benchmarks

開封率43.46%は中央値であり、平均値ではありません。引用する際は種別を確認してください。

国内27.2%と海外43.46%の差をどう読むか

この2つを並べて「日本のメルマガは成果が低い」と読むことはできません。集計対象の配信システムが異なり、利用企業層も、リストの性質も、Apple Mail利用者の比率も異なります。計測方法が同一であることが確認できない以上、優劣の比較には使えません。

自社の数字を評価する際は、同じ国内・同じ業種の値を目安に置き、そこから自社の推移を追うのが現実的です。海外の数値は、指標の考え方を参照する用途にとどめます。

なお、日本国内のBtoB全体を一つのセグメントとして集計した平均開封率は、今回の調査では出典を確認できませんでした。上記の業種別の値を「BtoB平均」としてまとめ直すことも、各業種の母数構成が公開されていないため行っていません。

改善の優先順位① 件名

開封率の改善に取り組む場合、効果が出るまでの速さと検証のしやすさから、件名を最初に扱うのが合理的です。配信のたびに変更でき、A/Bテストで効果を確認しやすいためです。

件名は文字数より「表示される範囲」で考える

件名の適切な文字数は、受信環境によって表示される範囲が異なるため、一律には決まりません。PCのメールソフトとスマートフォンでは表示できる文字数が変わり、同じ件名でも途中で切れる位置が違います。

したがって、文字数を目標に置くよりも、冒頭に何を配置するかを設計するほうが実務的です。読者が判断に使う言葉を前方に置き、後半が切れても意味が通る構造にします。

A/Bテストの設計

件名の効果を検証する場合、1回のテストで変更する要素は1つに絞ります。文言と配信時間を同時に変えると、どちらが効いたのか判別できません。

また、前述のとおり開封率はMail Privacy Protectionの影響を受けますが、A/Bテストでは両群に同じ条件で影響が乗るため、相対的な比較は成立します。件名の検証に開封率を使うことは、現在も有効です。

件名の具体的な設計方法については、別途詳しく解説する予定です。

改善の優先順位② 配信時間と頻度

件名の次に検証しやすいのが、配信のタイミングです。ここも配信のたびに条件を変えられます。

「最適な配信時間」は自社のリストでしか分からない

配信時間の推奨値は各社から示されていますが、それが自社のリストに当てはまるとは限りません。BtoBでは読者の勤務形態や業種によって、メールを確認する時間帯が変わります。

自社のリストで検証する場合、次の手順が現実的です。

  1. 現在の配信時間を基準として、3回分の開封率を記録する
  2. 時間帯だけを変えて、同じく3回配信する
  3. 他の条件(件名の傾向・曜日・内容の種類)を揃えたうえで比較する

1回の配信で判断すると、その回の内容やタイミングの偶然に左右されます。複数回の平均で見る必要があります。

頻度は開封率だけで判断しない

配信頻度を上げると、1通あたりの開封率は下がる傾向があります。ただしこれは、必ずしも悪化を意味しません。配信数が増えることで、合計の到達回数やクリック数は増える場合があるためです。

頻度を検討する際は、1通あたりの開封率ではなく、一定期間内の合計クリック数と配信停止率を並べて見ます。配信停止率が上がっている場合は、頻度が読者の許容を超えている可能性があります。

改善の優先順位③ リストの整理と到達率

件名と配信時間を調整しても開封率が改善しない場合、リストそのものに原因がある可能性があります。

そもそも届いていない可能性を先に潰す

開封率の分母は配信成功数です。不達分は分母から除かれるため、不達が多くても開封率の数字には表れにくい構造になっています。開封率を見る前に、不達率(バウンス率)を確認してください。

不達には2種類あります。

  • 恒久的な不達:アドレスが存在しない、ドメインが失効しているなど。放置すると送信元の評価が下がります
  • 一時的な不達:受信箱の容量超過、サーバーの一時的な障害など

恒久的な不達のアドレスは、リストから除外します。無効なアドレスへの配信を続けると、迷惑メール判定を受けやすくなり、届いていた読者にも届かなくなる可能性があります。

反応のない読者をどう扱うか

長期間にわたって開封もクリックもない読者がリストに残っていると、開封率は構造的に下がります。ただし、前述のとおり開封は正確に計測できないため、「開封していない」ことを理由に除外するのは危険です。画像をブロックしている読者は、読んでいても開封として記録されません。

判断材料にするなら、開封ではなくクリックの有無を見ます。それでも一定期間反応がない読者に対しては、除外する前に配信頻度を下げる、内容を変えるなどの再接触を試す方法があります。

配信停止の導線を分かりやすくする

配信停止のリンクを見つけにくくすることは、逆効果です。停止したい読者が停止できないと、迷惑メールとして報告される可能性があります。迷惑メール報告は送信元の評価を直接下げるため、配信停止よりも損失が大きくなります。

また、広告・宣伝を目的とするメールについては、特定電子メール法により、受信拒否ができる旨と、そのための連絡先を表示することが求められています。法令上の要件と実務上の利益が一致する領域です。

改善の優先順位④ デザインとプリヘッダー

件名・配信時間・リストを整えたうえで、最後に検討するのがメールの見え方です。開封の判断は受信箱の一覧画面で行われるため、開封前に読者が目にする要素から順に確認します。

プリヘッダーは件名の続きとして読まれる

プリヘッダー(プレビューテキスト)は、受信箱の一覧で件名の後ろに表示される本文冒頭の抜粋です。指定していない場合、本文の最初の文字列がそのまま表示されます。

ここに「このメールが正しく表示されない場合は」といった定型文や、配信解除の案内が入っていると、件名の直後にその文言が並びます。プリヘッダーを明示的に指定し、件名を補足する内容を置くことで、開封の判断材料を1つ増やせます。

開封後の体験が次回の開封率を決める

デザインは開封後に見られるものなので、その回の開封率には影響しません。ただし、次回以降の開封率には影響します。開いたメールが読みづらい、レイアウトが崩れている、目的の情報にたどり着けないという体験が続けば、読者は次から開かなくなります。

特に注意が必要なのが、受信環境による表示の差です。HTMLメールは、メールソフトごとにHTMLとCSSの解釈が異なるため、送信側の意図どおりに表示されるとは限りません。作成時に確認した環境では問題がなくても、読者の環境で崩れている可能性があります。

開封率が下がり続けている場合、原因が件名ではなく「開いた先で読めていないこと」にある場合があります。主要な受信環境での表示を一度確認してみてください。

メルマガの開封率に関するよくある質問

メルマガの開封率の平均はどのくらいですか?

国内では27.2%という調査結果があります。ブラストメールが2026年1月から6月に同システムから配信されたメールを集計したもので、業種別では製造・メーカー28.3%、IT・ソフトウェア25.7%、コンサルティング・士業24.4%などとなっています。ただし配信システムによって計算式と集計対象が異なるため、自社の数値と比較する際は算出条件を確認してください。

開封率が低い原因は何ですか?

原因は件名だけとは限りません。確認する順序としては、まず不達率を見て届いているかを確かめ、次にリストに反応のない読者が滞留していないかを確認します。そのうえで件名と配信時間を検証します。また、Apple Mail Privacy Protectionなどの影響で、実際には読まれていても開封として記録されない場合と、逆に読まれていなくても記録される場合の両方があります。

開封率はどのように計測されているのですか?

一般的には、メール本文に埋め込まれた1×1ピクセルの画像が読み込まれた時点を開封として記録しています。このため、受信者が画像表示をブロックしている場合は開封として計測されません。またテキスト形式のメールには画像を埋め込めないため、開封を計測できません。

Apple Mail Privacy Protectionは開封率にどう影響しますか?

Appleの公式ドキュメントによれば、この機能が有効な環境では、受信者がメールを閲覧した時点ではなく受信した時点で、リモートコンテンツがバックグラウンドで読み込まれます。そのため、実際には読まれていなくても開封として記録される可能性があります。Litmusは2026年時点で、計測される全開封イベントのうちおよそ55〜60%がこの機能の影響下にあるとしています。なお、これは開封率が55〜60ポイント上がるという意味ではなく、開封イベントに占める割合を示すものです。

開封率とクリック率のどちらを重視すべきですか?

成果指標としてはクリック率を主に置くことをおすすめします。開封率は計測方法が外部環境の影響を受けるためです。ただし開封率が不要になったわけではなく、同一条件での件名のA/Bテストや、自社の推移を追う用途では引き続き有効です。

まとめ|開封率は比較する数字ではなく、自社の推移を見る数字

開封率は、Apple Mail Privacy Protectionの導入以降、実際の閲覧回数とは別のものを測る指標になりました。他社や業界平均との単純な比較には向かず、成果の判断はクリック率を主指標に置くのが現在の実務です。

そのうえで改善に取り組む場合の順序は、次のとおりです。

  1. 件名:配信のたびに検証でき、効果が出るまでが速い
  2. 配信時間と頻度:複数回の平均で判断する
  3. リストの整理と到達率:そもそも届いているかを確認する
  4. デザインとプリヘッダー:次回以降の開封率に効く

なお、4つ目のデザインについては、受信環境による表示の差が読者の体験を大きく左右します。開いた先でレイアウトが崩れていれば、次回の開封にはつながりません。HTMLメールは主要な受信環境で表示を確認したうえで配信することをおすすめします。

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