
配信ツールのレポート画面には多くの数値が並びます。到達数、開封率、クリック率、配信停止率、エラー率。すべてを追おうとすると、どこから手をつけるべきか分からなくなります。
この記事では、指標に優先順位をつけ、どの順番で確認すべきかを整理します。あわせて、数値を読み違える原因になりやすい計測上の落とし穴を解説します。
結論として、効果測定で重要なのは多くの指標を見ることではなく、見る順番を決めることです。
指標には依存関係があります。届いていなければ開かれず、開かれなければクリックされません。上流の問題を放置したまま下流の数値を改善しようとしても、効果は出ません。
また、指標には計測の精度が高いものと低いものがあります。精度の低い指標を成果の判断に使うと、実際には改善していないのに改善したように見えることがあります。
確認の順序は、配信の流れに沿って上流から下流へ進みます。
| 順 | 指標 | 何を確認するか | 計測の精度 |
|---|---|---|---|
| 1 | 到達率/不達率 | そもそも届いているか | 高い |
| 2 | クリック率 | 読者が行動したか | 高い |
| 3 | コンバージョン | 成果につながったか | 中(計測設定に依存) |
| 4 | 開封率 | 件名や送信者名が機能したか | 低い(後述) |
| 5 | 配信停止率 | 頻度や内容が許容範囲か | 高い |
不達が多い状態では、他のすべての指標が意味を持ちません。しかも開封率やクリック率の分母は「配信成功数」であるため、不達が増えても率の数値には表れにくいという構造があります。
不達には2種類あります。
恒久的な不達はリストから除外します。無効なアドレスへの配信を続けると迷惑メール判定を受けやすくなり、これまで届いていた読者にも届かなくなる可能性があります。
クリックは読者の明確な意思による行動であり、機械的に発生することがほとんどありません。このため、成果を判断する指標として最も信頼できます。
メール経由の問い合わせや申込を計測するには、リンクにパラメータを付与するなどの設定が必要です。設定していない場合、Webサイト側では流入元が判別できず、他の経路と混ざります。
計測が設定されていない状態でコンバージョンの数値を見ても、メルマガの寄与は分かりません。
開封率は、計測の精度が構造的に低い指標です。詳細は後述しますが、実際の閲覧回数と一致しません。
ただし不要ではありません。同一条件でのA/Bテストや、自社の推移を追う用途では有効です。
配信停止率は数値が小さいため見落とされがちですが、急に増えた場合は明確な警告です。頻度を上げた直後、内容の方向性を変えた直後に増えていないかを確認します。
数値の読み違いにつながりやすい要因を挙げます。
開封の計測は、メール本文に埋め込まれた画像の読み込みで判定しています。この方式には次の問題があります。
後者はApple Mail Privacy Protectionなどによるもので、開封率が実態より高く出る要因になります。この仕組みと影響範囲については、別途詳しく解説する予定です。
クリック開封率(CTOR)は「クリック数 ÷ 開封数」で算出されます。開封数が実態より膨らむと、CTORは実際より低く算出されます。
CTORが下がったように見えても、本文が悪化したとは限りません。開封の計測環境が変わった可能性を考慮する必要があります。
クリック数を「延べ数」で数えるか「クリックした人数」で数えるかは、配信システムによって異なります。同じ配信でも定義が違えば数値が変わるため、他社の数値や業界平均との比較には注意が必要です。
同じ読者が複数回クリックした場合の扱い、セキュリティ製品によるリンクの自動チェックなど、実際の読者の行動以外の要因が数値に混ざることがあります。
極端に短時間で全リンクがクリックされている記録がある場合、それは読者ではなくシステムによるアクセスの可能性があります。
見落とされやすいのがこれです。特定の受信環境でレイアウトが崩れ、CTAボタンが表示されていない場合、その環境の読者からのクリックは発生しません。
しかしレポート上は「クリック率が低い」としか見えません。本文の内容やCTAの文言を何度改善しても、原因が表示崩れであれば数値は動きません。
クリック率が説明のつかない低さで推移している場合、主要な受信環境での表示を確認してください。
1回の配信結果は、その回の内容やタイミングの偶然に左右されます。最低でも3回程度の配信を並べ、傾向として見ます。
リストの規模が小さい場合は、さらに慎重な判断が必要です。配信数が数十件では、数件の差が率に大きく影響します。
前回との比較を行う際は、条件が揃っているかを確認します。
BtoBでは、長期休暇の前後、期末、業界の繁忙期などで反応が変わります。前月比だけでなく、前年同月との比較も併せて見ると判断しやすくなります。
件名と配信時間を同時に変えると、どちらが効いたのか判別できません。変更点は1回につき1つに絞ります。
この原則を守ると改善のペースは遅くなりますが、何が効いたかが分かるため、知見が蓄積します。同時に複数を変えると、成果が出ても再現できません。
配信ごとに「何を変えたか」を記録しておきます。数か月後に数値を振り返る際、変更内容が分からないと分析ができません。
記録する項目は、件名、配信日時、主な内容、CTAの位置、変更点の5つで十分です。
改善の順序も、確認の順序と同じく上流からです。
開封率の改善から始めたくなりますが、届いていない読者や、開いてもCTAが見えていない読者がいる状態では、開封を増やしても成果につながりません。
各指標が低い場合、どこに原因があるかの目安です。
| 低い指標 | 確認する箇所 |
|---|---|
| 到達率 | リストの鮮度、送信元の設定、無効アドレスの滞留 |
| 開封率 | 件名、送信者名、プリヘッダー、配信タイミング |
| クリック率 | CTAの配置と文言、本文の導線、受信環境での表示 |
| コンバージョン | リンク先ページの内容、メール本文との一致 |
| 配信停止率が高い | 配信頻度、内容と読者の期待のずれ |
開封率とクリック率それぞれの詳しい改善方法については、別途詳しく解説する予定です。
到達率(不達率)です。届いていない状態では他の指標に意味がありません。また開封率やクリック率の分母は配信成功数であるため、不達が増えても率の数値には表れにくい構造があります。次にクリック率を確認してください。
クリック率を主指標に置くことをおすすめします。クリックは読者の明確な意思による行動であり、機械的に発生することがほとんどないため、計測の精度が高いためです。開封率は画像の読み込みで判定しているため実際の閲覧回数と一致しませんが、同一条件でのA/Bテストや自社の推移を追う用途では引き続き有効です。
CTAの配置や文言、本文の導線が主な確認箇所です。ただし見落とされやすい原因として、受信環境での表示崩れがあります。特定の環境でCTAボタンが表示されていない場合、その環境の読者からのクリックは発生しませんが、レポート上は単に「クリック率が低い」としか見えません。本文を改善しても数値が動かない場合は、表示を確認してください。
最低でも3回程度を並べて傾向として見ることをおすすめします。1回の配信結果は、その回の内容やタイミングの偶然に左右されます。特にリストの規模が小さい場合、数件の差が率に大きく影響するため、より慎重な判断が必要です。
1回の配信で変更するのは1つに絞ることをおすすめします。件名と配信時間を同時に変えると、どちらが効いたのか判別できません。改善のペースは遅くなりますが、何が効いたかが分かるため知見が蓄積し、成果を再現できるようになります。
メルマガの効果測定は、指標を増やすことではなく順序を決めることから始まります。
改善も同じ順序で進めます。特にクリック率が説明のつかない低さで推移している場合は、本文の問題ではなく受信環境での表示崩れを疑ってください。この原因は、本文をいくら改善しても解決しません。
HTMLメールの制作、プロに任せませんか
B.A.Dは約30通りのメーラー×OS環境で表示検証済みのHTMLメールを、
デザインからコーディング・配信・分析改善までワンストップで提供しています。