
他社のメルマガを参考にしようとするとき、多くの場合は「面白いもの」「おしゃれなもの」を探すことになります。しかし、そのまま真似しても自社で同じ成果が出るとは限りません。配信の目的も読者も違うためです。
この記事では、参考になるメルマガを設計の観点から分解する方法を解説します。個別の事例を紹介するのではなく、どの型がどの目的に向いているかを整理し、自社に取り入れられる要素を判断できるようにします。
結論として、参考にすべきメルマガは「印象に残ったもの」ではなく、目的と構成と見せ方が一貫しているものです。
面白いメルマガとして紹介される事例の多くは、BtoCの消費者向けです。読者が楽しみのために読んでいる前提で作られており、業務上の判断材料として読まれるBtoBのメルマガとは前提が異なります。
自社に取り入れる際に見るべきは、表現の面白さではなく、その配信が何を目的にしていて、その目的に対して構成がどう組まれているかです。以下、その分解方法を示します。
他社のメルマガを見る際、次の4点に絞って観察すると、設計の意図が読み取れます。
| 観点 | 見るポイント | そこから分かること |
|---|---|---|
| 構成 | 話題の数、順序、1通の長さ | 読者にどこまで読ませる想定か |
| 配色 | 使っている色数、CTAの色の扱い | どこに視線を集めたいか |
| CTA | 数、配置、文言 | 読者に取ってほしい行動が何か |
| 情報量 | 本文で完結するか、リンク先に送るか | メール単体の役割をどう置いているか |
この4点を並べると、そのメルマガが何を狙っているかが見えます。逆に4点がばらばらな配信は、参考にしても再現性がありません。
順序が重要です。デザインから見ると印象に引きずられ、設計の意図を読み違えます。
1つの商材やイベントだけを扱い、それ以外の情報を入れない型です。
| 構成 | 話題は1つ。冒頭から結論を示す |
| 配色 | 色数を絞り、CTAの色を1色だけ際立たせる |
| CTA | 1種類。本文の途中と末尾に同じリンクを置く |
| 情報量 | 判断に必要な最小限。詳細はリンク先 |
向く目的:セミナーの申込、新サービスの案内、期限のあるキャンペーン。
成立の条件:読者にとって「いま判断すべきこと」が明確であること。関心のない読者には情報がゼロになるため、配信対象を絞れる場合に有効です。
複数の話題を並べ、読者が関心のあるものを選ぶ型です。
| 構成 | 3〜5件程度を並列。各項目は見出しと数行の要約 |
| 配色 | 項目間の区切りが分かる程度に抑える |
| CTA | 項目ごとにリンク。強さは均等 |
| 情報量 | 各項目は要約のみ。本体はリンク先 |
向く目的:定期配信で関係を維持する、読者の関心分野を把握する。
成立の条件:継続的にコンテンツを供給できること。また、クリックが分散するため、特定のページへ集中的に送客したい場合には向きません。
この型は、読者がどの項目をクリックしたかで関心を把握できるという副次的な利点があります。次回以降のセグメント分けの材料になります。
本文だけで完結する内容を届け、リンクへの誘導を最小限にする型です。
| 構成 | 1つのテーマを本文で展開。長さは他の型より長い |
| 配色 | 装飾を抑え、読みやすさを優先 |
| CTA | 末尾に1つ、控えめに |
| 情報量 | メール本文で完結する |
向く目的:専門性の提示、送信者への信頼形成、長期的な関係構築。
成立の条件:書き手が継続的に内容を供給できること。この型は制作の負荷が最も高く、担当者の力量に依存します。
短期的なクリック数は他の型より低くなりますが、読者との関係の質を高める目的では有効です。BtoBで検討期間が長い商材に向きます。
業種によって、選ばれやすい型には傾向があります。
| 業種の性質 | 選ばれやすい型 | 理由 |
|---|---|---|
| 検討期間が長い(BtoB全般) | 型③ または 型② | 1回の配信で決まらないため、関係の維持が優先される |
| イベント・セミナーが多い | 型① | 申込という明確な行動があり、期限も設定されている |
| コンテンツを継続発信している | 型② | 供給できる話題があり、読者の関心も把握したい |
| 専門サービス(士業・コンサルなど) | 型③ | 専門性そのものが判断材料になる |
ただしこれは傾向であり、業種で決まるものではありません。自社の配信目的から選んでください。
1つの型に固定する必要はありません。定期配信は型②、セミナー告知は型①、というように目的に応じて使い分けるのが実務的です。
その場合、読者が混乱しないよう、ヘッダーやフッターなどの共通部分は揃えておきます。
これらは自社の目的が違っても、考え方として転用できます。
参考にした事例が美しく見えたとしても、それはあなたの受信環境での見え方です。他の環境では崩れている可能性があります。
HTMLメールはメールソフトによってHTMLとCSSの解釈が異なるため、送信側の意図どおりに全環境で表示されるとは限りません。凝ったレイアウトほど、崩れる環境が増えます。
デザインを参考にする際は、その表現が複数の環境で成立するかを確認したうえで取り入れる必要があります。真似した結果、自社の読者の環境では崩れていたという事態は起こり得ます。
メルマガのデザイン設計については、別途詳しく解説する予定です。
自社と目的が近い企業の配信を実際に購読することをおすすめします。まとめ記事で紹介される事例は消費者向けの「面白いもの」が中心になりがちで、BtoBの判断材料としては前提が異なります。購読して継続的に受け取ると、単発の見た目ではなく設計の一貫性が確認できます。
構成、配色、CTA、情報量の4点に絞って観察してください。順序としては、まずCTAを探して何をさせたいメールかを把握し、次に構成でCTAまでの流れを確認し、最後に配色と情報量を見ます。デザインの印象から見ると、設計の意図を読み違えやすくなります。
構成の順序やCTAの文言など、考え方として転用できる要素はあります。一方で配信頻度、デザインの作り込み度、文章のトーンは、相手の制作体制や読者との関係性の上に成立しているため、そのまま持ち込むと継続できません。また、参考にした事例が自分の環境で美しく見えても、他の受信環境では崩れている可能性がある点にも注意が必要です。
見た目の良さと成果は直接には結びつきません。重要なのは、配信の目的と構成と見せ方が一貫していることです。また凝ったレイアウトほど、メールソフトによって表示が崩れる可能性が高くなります。装飾を増やす前に、読者に取ってほしい行動が明確に伝わる構成になっているかを確認してください。
問題ありません。定期配信は一覧型、セミナー告知は単一の告知型というように、目的に応じて使い分けるのが実務的です。ただし読者が混乱しないよう、ヘッダーやフッターなどの共通部分は揃えておくことをおすすめします。
参考になるメルマガを自社に取り入れる際の要点は次のとおりです。
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