
HTMLメールを用意する方法は、大きく3つあります。配信ツールのテンプレートを使う、自社でコーディングする、外部に依頼する。
どれが正解かは、配信の条件によって変わります。この記事では、3つの選択肢を初期費用・運用工数・デザイン自由度・崩れリスクの4軸で比較し、それぞれが向くケースを示します。
結論として、3つの選択肢の違いは表示が崩れた場合の責任と対応を誰が負うかにあります。
HTMLメールは、メールクライアントによってHTMLとCSSの解釈が異なるため、送信側の環境で正常に見えていても読者の環境で崩れることがあります。この状態を確認し、修正する工程が必ず必要になります。
配信ツールのテンプレートを使う場合、その工程はツール提供元がある程度担っています。自社でコーディングする場合は自社が負い、外注する場合は制作会社が負います。
費用の差は、この工程を誰がやるかの差でもあります。以下、具体的に比較します。
| 選択肢 | 作業の内容 | 必要なもの |
|---|---|---|
| 配信ツールのテンプレート | 用意されたテンプレートに内容を入れる | 配信ツールの契約 |
| 自社コーディング | HTMLとCSSを自社で書く | HTMLメールの知識、検証環境 |
| 外注 | 制作会社に依頼する | 要件の整理、予算 |
なお、これらは択一ではありません。定期配信はツールのテンプレート、重要な案内だけ外注という使い分けも実務的です。
| 軸 | ツールのテンプレート | 自社コーディング | 外注 |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | ツール料金に含まれる | 実質なし(人件費のみ) | 制作費が発生する |
| 運用工数 | 小さい。内容の差し替えのみ | 大きい。制作と検証を毎回行う | 小さい。依頼と確認のみ |
| デザイン自由度 | テンプレートの範囲内 | 制約の範囲で自由 | 制約の範囲で自由 |
| 崩れリスク | 低い(提供元が検証済み) ただし編集すると上がる |
検証環境の有無で決まる | 低い(検証範囲を取り決められる) |
表面的には、自社コーディングが最も安く見えます。しかし運用工数と崩れリスクを含めると、評価が変わります。
自社でコーディングする場合、毎回の制作に加えて、複数の受信環境で表示を確認する作業が発生します。この確認を省くと崩れリスクを負うことになり、確認すると工数が積み上がります。
自社コーディングと外注のデザイン自由度を「制約の範囲で自由」としているのは、どちらの方法でもHTMLメール特有の制約は変わらないためです。
外注すればWebページと同じ表現ができるわけではありません。メールクライアントの対応状況という制約は共通です。
次の条件に当てはまる場合、配信ツールのテンプレートで十分です。無理に制作費をかける必要はありません。
ツールのテンプレートは、そのツールの配信経路で検証されています。編集画面の範囲で使う限り、崩れる可能性は低くなります。
また、内容の差し替えだけで配信できるため、運用の負荷が最も小さくなります。継続性という観点では最も有利な選択肢です。
テンプレートを大きく編集すると、この利点は失われます。特にHTMLを直接触って構造を変えた場合、提供元の検証は意味を持たなくなります。
また、配信ツールを変更する際、テンプレートをそのまま引き継げないことがあります。
次の条件が揃っている場合、自社でコーディングする選択肢が成立します。
Webサイトのコーディング経験があっても、そのままでは対応できません。HTMLメールでは次の点が異なります。
tableで組むこれらはWebの実装知識とは別に習得が必要な領域です。
自社コーディングで最も課題になるのが、表示を確認する手段です。
自分のパソコンとスマートフォンで確認するだけでは、他の環境の状態が分かりません。崩れているかどうかを判断できないまま配信することになります。
検証用のサービスを利用する方法もありますが、その費用と運用の手間を含めて判断する必要があります。実装スキルよりも、この確認手段の有無が自社対応の可否を決めます。
次の条件に当てはまる場合、外注を検討する価値があります。
外注する場合、次を事前に整理しておくと見積もりと成果物の精度が上がります。
| 項目 | 決めておく内容 |
|---|---|
| 検証する環境 | どのメールクライアントまで確認するか |
| 納品の形式 | HTMLファイルか、配信ツールへの入稿までか |
| 使用する配信ツール | ツールによって制約が異なる |
| 今後の編集 | 自社で差し替えるか、毎回依頼するか |
| デザインの有無 | デザインから依頼するか、実装のみか |
納品後に自社で内容を差し替える前提であれば、編集しても壊れにくい構造で作ってもらう必要があります。この点を伝えていないと、編集のたびに崩れる状態になることがあります。
すべてを依頼する必要はありません。次のような部分的な依頼も可能です。
3つの選択肢で迷う場合、次の順序で判断すると絞り込めます。
限定できる場合(社内向け、取引先が特定できるなど)→ ツールのテンプレートで十分な可能性が高い。その環境で確認できれば足ります。
限定できない場合 → 質問2へ。
できる場合 → ツールのテンプレートを使う。編集は文言と画像の差し替えにとどめます。
できない場合(ブランド表現、複雑なレイアウトが必要)→ 質問3へ。
両方ある場合 → 自社コーディングが成立します。
どちらかが欠ける場合 → 外注を検討します。特に検証環境がない状態で自社実装すると、崩れているかどうかを判断できないまま配信することになります。
| 状況 | 適した選択肢 |
|---|---|
| 始めたばかりで継続できるか試している | ツールのテンプレート |
| 社内向け・受信環境が限定できる | ツールのテンプレート |
| 配信頻度が高く実装スキルと検証環境がある | 自社コーディング |
| ブランド表現が必要で検証環境がない | 外注 |
| すでに崩れていて原因が分からない | 外注(原因の切り分けから) |
配信ツールのテンプレートを使う方法であれば、専門知識がなくても作れます。HTMLを直接書く場合は、Webサイトのコーディングとは別の知識が必要です。レイアウトをtableで組む、CSSを各要素に直接書く、Webフォントが使えない前提で設計するといった点が異なります。加えて、複数の受信環境で表示を確認する手段が必要になります。
条件によっては十分です。レイアウトが単一カラムで足りる、ブランドガイドラインの厳密な再現を求めない、編集が文言と画像の差し替えにとどまる、といった場合は無理に制作費をかける必要はありません。ツールのテンプレートはそのツールの配信経路で検証されているため、編集画面の範囲で使う限り崩れる可能性も低くなります。
依頼する範囲によって変わるため一律の目安はありません。デザインから依頼するか実装のみか、検証する環境をどこまで含めるか、配信ツールへの入稿まで行うかによって内容が変わります。お問い合わせいただければ、条件を伺ったうえでお見積もりをご案内しています。
表示を確認する手段です。メールクライアントは種類とバージョンが多く、すべてを自社で用意することは現実的ではありません。自分のパソコンとスマートフォンで確認するだけでは他の環境の状態が分からず、崩れているかどうかを判断できないまま配信することになります。検証用のサービスを利用する方法もありますが、その費用と運用の手間を含めて判断してください。
検証する環境の範囲、納品の形式(HTMLファイルか配信ツールへの入稿までか)、使用する配信ツール、納品後に自社で編集するかどうか、デザインから依頼するか実装のみかを整理しておくと、見積もりと成果物の精度が上がります。特に納品後に自社で差し替える前提であれば、編集しても壊れにくい構造で作ってもらう必要があるため、その点を伝えてください。
3つの選択肢の判断における要点は次のとおりです。
配信ツールのテンプレートで条件が満たせるなら、それが最も合理的な選択です。制作を検討すべきなのは、テンプレートでは表現できない要件がある場合か、検証環境を用意できない場合に限られます。
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