
メルマガを始めるとき、多くの場合は配信ツールの選定や本文の書き方から検討が始まります。しかし実際に配信を続けられるかどうかを決めるのは、その手前にある企画とリスト設計です。
この記事では、メルマガの立ち上げから改善サイクルまでを6つの段階に分けて解説します。あわせて、日本国内で広告・宣伝メールを配信する際に必ず確認が必要な特定電子メール法の要件を整理します。
結論から言えば、メルマガが続かなくなる原因の多くは、企画が決まらないまま制作に入ることにあります。
「誰に、何のために、どのくらいの頻度で送るか」が定まっていないと、毎回の配信でゼロから内容を考えることになります。これは担当者の負荷が高く、配信が滞る最大の要因です。
逆に企画が決まっていれば、制作は型に沿った作業になります。以下、企画から改善までの手順を順に見ていきます。
メルマガの目的は、配信ごとに変えるのではなく、全体として1つに定めます。目的が複数あると、1通の中に異なる訴求が混在し、読者にとって何のメールか分からなくなります。
BtoBでよくある目的は次のようなものです。
これらは求められる内容も頻度も異なります。1つのリストで全部をやろうとすると、どの読者にも中途半端な内容になります。
「見込み客」では対象として粗すぎます。その人がいま何に困っていて、何を知れば次に進むのかまで具体化します。
リストの中に状態の異なる読者が混在している場合、セグメントを分けて配信内容を変える方法があります。ただし分けるほど運用の手間は増えるため、最初は分けずに始め、反応の差が見えてから分割するのが現実的です。
頻度を決める際の基準は、理想ではなく継続可能かどうかです。週1回で始めて3か月で止まるより、月1回を2年続けるほうが成果につながります。
頻度を上げると1通あたりの開封率は下がる傾向がありますが、これは必ずしも悪化ではありません。判断する際は、1通あたりの数値ではなく、一定期間の合計クリック数と配信停止率を並べて見ます。
メルマガの配信先リストは、集め方の段階で法令上の要件を満たしておく必要があります。後から遡って同意を取り直すことは困難なため、開始前に確認してください。
日本国内では、広告・宣伝を目的とする電子メールの送信は「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(特定電子メール法)の対象になります。
同法第3条第1項は、原則としてあらかじめ同意した者に対してのみ送信を認めています。総務省は、送信できる対象を次のように示しています(2026年9月5日参照)。
あらかじめ、特定電子メールの送信をするように求める旨又は送信をすることに同意する旨を送信者又は送信委託者に対し通知した者
出典:総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/basic/legal/08/
同条には例外も定められています。主なものは次のとおりです。
名刺交換で受け取ったアドレスや、取引先のアドレスがこれに該当し得ます。ただし「BtoBだから一律に同意は不要」と単純化するのは適切ではありません。どの例外に当たるかは、アドレスの取得経緯によって個別に変わります。
実務上は、Webサイトのフォームから資料請求や問い合わせを受ける際に、メルマガ配信への同意を明示的に得る導線を設けておくのが確実です。
同法第4条は、送信するメールに表示すべき事項を定めています。総務省が示す主な項目は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 送信者の氏名または名称 | 送信について責任を有する者の氏名または名称 |
| 受信拒否のための連絡先 | 受信拒否の通知を受けるための電子メールアドレス、またはURL等 |
| その他 | 総務省令で定める事項 |
出典:総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(2026年9月5日参照)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/basic/legal/08/
配信停止の導線については、表示していれば足りるというものではありません。何度もクリックしなければ停止できない構造や、極端に小さい文字での記載は適切ではないとされています。
※本記事は法令の概要を整理したものであり、個別の配信設計における法的判断を代替するものではありません。実際の運用にあたっては、現行の法令・施行規則および最新のガイドラインをご確認ください。
配信停止のリンクを見つけにくくすると、停止したい読者は迷惑メールとして報告します。迷惑メール報告は送信元の評価を直接下げるため、他の読者にも届かなくなる可能性があります。
法令上の要件と、配信を継続するうえでの利益が一致する領域です。
1通のメールに複数の話題を入れると、読者はどれに反応すべきか分かりません。結果としてどのリンクもクリックされにくくなります。
複数の話題を扱う必要がある場合も、主となる話題を1つ決め、他は補足として扱います。視覚的な強さにも差をつけます。
継続の観点では、毎回構成を考えないで済む状態にすることが重要です。「冒頭に要点、本編、関連情報、CTA」といった型を決めておけば、埋める作業になります。
本文の具体的な書き方については、別途詳しく解説する予定です。
企画と原稿が決まったら、実際のメールを作成します。ここで形式の選択が必要になります。
HTML形式は、レイアウトや画像を使えるため情報を整理して伝えられます。またリンクのクリック計測が可能で、開封の計測もHTML形式でなければ行えません。
テキスト形式は、どの環境でも同じように表示される確実性があります。ただし計測ができず、CTAを目立たせることも難しくなります。
両者を1通に含めて送るマルチパート配信という方法もあります。形式ごとの成果の違いについては、別途詳しく解説する予定です。
HTMLメールを作成する際に注意が必要なのは、Webサイトと同じようには作れないという点です。メールソフトによってHTMLとCSSの解釈が異なるため、Webページ向けの実装をそのまま持ち込むと、環境によってレイアウトが崩れます。
配信ツールに付属するテンプレートを使う場合も、編集の仕方によっては構造が壊れることがあります。デザインと実装の具体的な方法については、別途詳しく解説する予定です。
配信前に自分宛にテスト送信して確認する方法は一般的ですが、これには限界があります。確認できるのは自分が使っている環境だけだからです。
読者が使っているメールソフトは多様で、同じメールでも表示が変わります。特にレイアウトの再現性はメールソフトによって差が大きく、送信側の環境で問題がなくても読者の環境で崩れていることがあります。
すべての環境を確認することは現実的ではないため、読者の利用が多い環境から優先します。判断材料がない場合、次の観点で選びます。
自社で環境を揃えることが難しい場合、表示検証のサービスを利用する方法もあります。
改善を進める際は、配信ごとに変更点を1つに絞ります。件名と配信時間を同時に変えると、どちらが効いたのか判別できません。
指標は多く取れますが、すべてを同時に追う必要はありません。優先順位は次のようになります。
各指標の詳しい見方と、計測上の注意点については、別途詳しく解説する予定です。
目的、対象、頻度を決めることから始めてください。この3つが定まらないまま制作に入ると、毎回の配信でゼロから内容を考えることになり、継続が難しくなります。あわせて、配信先リストの集め方が特定電子メール法の要件を満たしているかを開始前に確認してください。後から同意を取り直すことは困難です。
広告・宣伝を目的とするメールは特定電子メール法の対象となり、原則としてあらかじめ同意を得た相手にのみ送信できます。ただし、自らアドレスを通知した者、取引関係にある者、アドレスを公表している団体や営業を営む個人などの例外があります。またメールには送信者の氏名または名称と、受信拒否の通知を受けるための連絡先を表示する義務があります。個別の判断については現行の法令とガイドラインをご確認ください。
継続できる範囲で決めることをおすすめします。週1回で始めて数か月で止まるより、月1回を長く続けるほうが成果につながります。頻度を上げると1通あたりの開封率は下がる傾向がありますが、これは必ずしも悪化を意味しません。判断する際は一定期間の合計クリック数と配信停止率を並べて確認してください。
計測を行いたい場合はHTML形式が必要です。開封の計測はHTML形式でなければ行えず、リンクのクリック計測もHTML形式のほうが扱いやすくなります。一方テキスト形式は、どの環境でも同じように表示される確実性があります。両方を1通に含めて送るマルチパート配信という方法もあります。
自分の環境でしか確認できないため、不十分な場合があります。メールソフトによってHTMLとCSSの解釈が異なるため、送信側では正常に見えても読者の環境でレイアウトが崩れることがあります。PCとスマートフォンの両方、およびレイアウトの再現性に差が出やすい環境での確認をおすすめします。自社で環境を揃えられない場合は、表示検証のサービスを利用する方法もあります。
メルマガの立ち上げは、次の6段階で進めます。
このうち制作と表示確認は、専門的な知識が必要になる領域です。社内にリソースがない場合は、外部に依頼する選択肢もあります。
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